イギリスの劇作家サウザーンは「失敗は落胆の原因ではなく、新鮮な刺激である」といったが、こうした気概をもって事に臨むことが何より大切なことといえる。
一代で西武王国を築き挙げた堤康二郎の、その前半生は失敗の連続だった。彼が20代で手がけた事業は、鉄工所経営、石油採掘、雑誌発行、船会社の買収、真珠の養殖と、おどろくほど多彩だが、そのすべてに失敗しているのだ。「そのときはもう自分は世の中に生きている値打ちのない人間だとまで思った」と、堤康二郎は当時をふりかえってこう述べている。
本田宗一郎氏も「現在の私が成功というなら、その土台を築いたのは失敗である。私のしてきた仕事は失敗の連続であった」といっている。
世の中の成功者で失敗に言及しなかった人はまずいない。山ほどの失敗をしたからこそ、大きな成功にたどりついたのだ。上手くいかない経験を一つ一つ積み重ねていくことが成功へ近づく方法であり、失敗も「しないほうがいい」のではなくてそうして「苦労はしたほうがいい」のである。
つまり、成功に遠い人とは失敗を恐れる人なのだということだ。「失敗をしまい」と考えたときから人は消極的になってしまう。あるいは「失敗したくない」ために何もしない。失敗はプロセスでおこることであり、最終結論ではないということだ。確かに、失敗しない者は結局は何事もなしえない。
人のやらないこと、やれないと思っていることをやれば、失敗する確率は非常に高くなる。
「決して倒れないのが良いのではない。倒れたらすぐ起き上がるのが貴いのである。」
(オリバー・ゴールドスミス)
失敗を恐れない人は、逆境や修羅場に強くなっていく。失敗しても失敗しても、起き上がる不屈の精神が成功のカギなのだ。我孫子のためになる事なら、諦めないでがんばろう!
川北義則 『逆転の人生法則』PHP