今日は阪神大震災から18年目。私も転勤家族として、震災の少し前まで芦屋に住んでおり、同学齢の子をもつ友人たちが被災しました。そういうことから、震災後の精神的、金銭的な苦労も知ることになりました。一人は被災したことからのショックから立ち直るのに何かしはじめないと考え続けていました。彼女の申し入れで、どうしても震災の記憶を留める冊子を作っておきたい、それを希望者や公共施設に置く、ついては、足や市外でも配布してほしいというので、新聞に載せてもらうなど手伝いました。
人はあまりに酷いショックを受けると現実を受け入れらない気持ちになります。被災者自身も同様で、「今度余震が来たら、次は自分が命を落とすかもしれない」といった死の恐怖におびえることになります。心的外傷(トラウマとも言います。)という状態です。体だけでなく、「心もけがをすることがある」と言えば分かりやすいかもしれません。症状としては、強い不安や恐怖、イライラした気持ち、不眠、そして、震災直後の状況がその時の恐怖心とともに生々しく記憶の中で蘇る、フラッシュバックなどがあります。
なぜPTSDが問題かと言うと、震災のような重大な出来事の後、1カ月以上経過してから発症し、人によっては長期化することもあるからです。精神科医の中井久夫氏(阪神淡路大震災の当時の神戸大教授)は、その著書で、ポール・ヴァレリーの詩を引用して、体の傷は治せても 「心の傷は生涯癒えないことがある」述べています。
阪神大震災から18年たちますが、初期段階で精神的な苦痛に対処するにも、実際に現地で活動している精神科医たちの人手が足りず、2次予防(震災をきっかけに不眠、不安などを発症した患者さんの早期発見、早期治療)に追われていて、1次予防(精神疾患が発症しないよう予防)が不十分となっていたとも言われました。
市議になって、平和運動、国際理解の推進ともに市内施設の耐震化にとくに力をいたたのもそうした経験からでしたし、被災者の災害はモノの損失だけでないということが痛いほど分かります。そして、日本が起こした戦争の被害は海外、そして国内でも多くの傷を残したのに違いなく、敗戦国となって、そうした精神的な後遺症への対処はされないままだったことは知らないです。