昨年、4月28日に公開された、空前のヒットとなった『テルマエ・ロマエ』は温泉映画でした。映画の撮影も行ったイタリアで開催された第14回ウディネ・ファーイースト映画祭にて、インターネット投票1位の作品が選ばれる「マイムービーズ賞」も受賞しました。 『テルマエ・ロマエ』のほか、日本からは『モテキ』など11作品が招待されたが、日本作品の中で唯一、受賞の快挙を成し遂げました。2月に出演の阿部寛と上戸彩が現地を訪れ行ったローマプレミアでも、「素晴らしかった!」と大絶賛され、スタンディングオベーションが巻き起こったという幸先の良いスタートでした。
イタリア人の夫を持つ漫画家ヤマザキマリの同名小説が原作で、古代ローマ人の風呂設計技師ルシウスが、なぜから風呂に限定して現代日本にタイムスリップしてくる奇想天外なストーリーです。ルシウスが日本の風呂文化に感激して、ローマ風呂に斬新なアイデアとして取り入れて成功しいく物語、映画では、阿部寛のほか、市村正親、北村一輝、宍戸開の日本きっての濃い顔系の俳優たちを古代ローマ人役にキャスティングして話題になったが、興行収入30億円突破を見込める大ヒットスタートを切り、イタリアでの公開も調整中とのことになっているそう。
この『テルマエ・ロマエ』で、温泉ばかりでなく日本の浴槽技術や、ウォシュレットに見られるこだわりの技術は改めて世界一だと感銘でした。職人芸の伝統があって、便利なアイデアを実際のモノにする為の高い技術力は、外国人にも大いにウケていけると思いました。今や、日本人が海外の人から好感を持たれ、世界中が日本ブームで沸騰していることを、井の中の蛙のようにご存じないかもしれないですが、 クール・ジャパンは、ゴ―ジャス・ジャパンに進化していっているのです。西欧を含む、アメリカ、カナダ、ロシアや東欧、そして中東、台湾、韓国、中国もなのです。旧い政権や国家が反目していても、若い
感性はインターネットなどを通じて、日本の心にくい庶民文化に関心をもっているのです。以前、経済評論家の日下公人氏が指摘したような世界中が日本化されているようです。
数年前から、日本国内では、日本の携帯電話や電化製品などのガラパゴス化を懸念され始めました。
それは、日本市場独自の進化を遂げ、世界標準と余りにもかけ離れ過ぎた高機能、高品質の製品が、世界中の消費者から受け入れられず、日本製品が、世界市場から、独り、取り残されているのではないかと危惧されたからです。けれども、日本製品がガラパゴス化したと言われるようになった理由は、実は、我々日本人が、世界で最もクォリティが高い物を求める消費者であり続ける裏返しから起きたのです。日本の企業(=生産者)は、国内のライバル企業との熾烈な競争で勝つために、世界一、目が肥えた日本の一般消費者ニーズに応じざるを得ない為にどうしてもそうなってしまったのです。
世界に、良く知られた日本製品や日本文化、そして、アニメや日本の食文化のみならず、駅弁などに代表されるお弁当やお重、折り紙や贈答品のおり方・包み方等々の細部にわたるまで、外国人から、「日本のクォリティの高さは凄い」と絶賛されているのです。海外の人は優れた日本製品や日本文化に憧れ、求めた結果、世界中でジャポニズムの再来になっているのです。この時代に、世界から羨望のまなざしで見られている日本に生まれてきた"奇跡"と"幸福"に心から感謝です。
世界(特に欧米)のエスタブリシュメントが恐れているのは、実はこの真似できないソフトパワーの方です。覇権国家アメリカのように世界中の人々に迷惑がられながらも、軍事力や経済力というハードパワーで、強硬に米国の正義に従わせている北風よりも、欧米に再度のジャポニズムを巻き起こしたソフトパワーは日の出する国のパワーにホットになっているのです。このソフトパワーは、じわじわと浸透してきましたが、精神面や価値観を新たにさせて、支持されるという、かなりの影響力ももちます。
また、高い技術力を兼ね備えた、世界一の債権国である日本の経済力もあるので、このソフトパワーでなら世界の津々浦々まで戦争、殺戮や飢えもない、真に、平和で幸福な時代へと牽引できると期待していいと思います。
いよいよ、今世紀に憲法9条改正の論議を突きつけられた時、国民的な議論として真剣に話し合う時が間もなく来るのだと思います。戦後65年以上もの平和な時代は、政治家が作ったのではなく、私たち国民が真摯に平和国家を願って、支えてきたからなのですから、ここに至って政党の間の数の力で寄り切られたりすることなく、一人一人が誇りをもって他国に出来ない文化の厚み=平和の国、パックス・ジャポニカにしていきましょう。
余談:漫画本『テルマエ・ロマエ』(1巻)、お貸しできます。