医学博士の安保徹氏は「免疫低下の大きな原因の一つはストレス」だと言います。
ストレスは、自らが感じるところから起こるという事を示しています。
例えば、UCLAの演劇学科で行なわれた実験があります。被験者は、これまでの人生で起こった最も気がめいることについて一日中考え、それを科学者の前で演技しながら表現する、というものです。実験の間、被験者はスタニスラフスキー方式の練習をしました。これは、おびえる場面であれば、おびえたものの記憶を詳細にたどり、実際におびえた感情を引き出しながら演じるというものです。
もう一方のグループには、幸せな記憶だけを思い出して演じてもらいました。
その後2つのグループから数回採血し、免疫機能を継続的に調べたところ、楽しい記憶を思い出したグループの免疫細胞は数も多く、活発でした。それに対して、気がめいる記憶を思い出したグループは、免疫細胞の数が著しく低下し、その活動性も低くなり、感染症にかかりやすい状態になっていたのです。
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「悲しい」「苦しい」「つらい」ことをイメージするだけで、わずか1日で免疫力が低下するという身体の変化があったのです。これはつまり、ストレスを受けるか受けないかは、実際にストレスを受けているかどうかが問題ではなく、頭のなかが「苦しみ」だけで埋め尽くされているかによって変わってくるということです。
災害の多い日本で人々が生き延びてきたの秘策は、それぞれに小さな楽しみの技を持っていたかどうかだったのかもしれません。
今月9日まで、東京・上野の東京芸大大学美術館で企画展「尊厳の芸術展」が開催され、選挙前に話題になった。
http://pid.nhk.or.jp/event/PPG0151561/index.html
今年は太平洋戦争中、米国政府によって日系人約12万人が強制収容されてから70年に当たり、収容所内で日系人が作った美術工芸品や日用品などが集められて企画展が開かれました。日系米国人のデルフィン・平砂さんが『アート・オブ・ガマン』としてその経緯を本にまとめています。戦中に日系人だけが収容所に軟禁され、後に米国はその人権無視に対して謝罪しました。収容所のガラクタや素材をもとに作った芸術作品を紹介するだけでなく、監禁された人々の強い精神力と反発力へ敬意を表する、という目的を込めた展示会でもあります。芸術、特に技術を学んだこともない日系一世等がガラクタや素材をもとに作った作品は、監禁された人々の強い精神力と創造性に対して誰もが不屈の精神に敬服し、芸術の域に近づいた感動があります。
天皇皇后両陛下もご覧になり、材料を工夫してつくった椅子やたんすなどの家具を見ながら「(家具を作った)道具は自分で作ったんですか」などと説明役に尋ね、米軍に志願した日系人部隊のお守りとして作られた千人針の展示の前で、皇后さまは「(千人針は)私も作りました」と感慨深げだったとの報道もありましたが、被災地の人々にも見てもらえるようにと来年には、下記の日程で開催が予定されています。
平成25年2月9日(土)〜3月11日(月)
【会場】福島 こむこむ館
平成25年5月5日(日・祝)〜5月18日(土)
【会場】 せんだいメディアテーク
参考:
『「苦しい」が「楽しい」に変わる本』樺沢紫苑(精神科医) あさ出版