「2013年の内外経済の展望と株式市場」という講演を有楽町の国際フォーラムにて聞いてきた。米国、欧州、中国の世界情勢を概観しながら、総裁選後の日本の不況克服への道、円高是正、日銀の追加緩和対処などなど、既に自民党政権のスタートを予測しての待ったない経済回復の方向性を示唆するものだった。
今、世界的に中道左派が主流な中で、中道右派とみられる自民党が勝つとしても、そのことで生じる格差も他の国よりは小さい程度という。確かに、欧米に比べ金融機関への批判が少なく、ナンバーワンになるだろう中国に比べてみるまでもなく、気がついて見れば日本が国情の安定では他の国の類ではない。
昨年の大震災が起きるまでは民主党が、官僚の天下りのあまたの不適切な法人を切ろうと、マスコミを釘づけにして、それまでの政権下につくられてきて増大してきたブラックボックスを仕分けして、いくらか透明化したと評価するところであった。族議員と呼ばれる霞が関官僚、所属団体出身者は特定分野を所管することが多いわけで、そらら議員は各省庁に対応する形で設置された政務調査会の政策部会に属して、一様ではないにしても衆議院議員で当てはめると、当選回数2回で関連省庁の政務次官、当選回数3回で部会長、当選回数4回で国会の委員長、当選回数5回以上で大臣に就任、というふうに当選回数と役職を重ねていくことによって序列の中を上昇して、やがてドンやボスと呼ばれるような存在となって政策立案決定の際にさらに強い影響力を行使する族議員となっていった。このうまいシステムは、かつて田中角栄の派閥が建設や郵政などの族議員を養成し、さらに族議員をあらゆる政策分野に配置して陳情を処理するようになって、利権に結びつく部会には新人議員の入会者が殺到し、人気のある部会や調査会には主流派閥が群がり、非主流派閥は不人気部会に追いやられたなどという事すら起きていたのだという。
しかし、国民が情報を集めることがたやすくなった現在であれば、国民の側に顔を向ける専門家らと繋がりながら、霞が関の官僚を動かせる政治家をも動かしていくことになればそれに越したことはない。霞が関官僚の蓄積してきた専門性、仕事への誇りは非常に高いものがあるわけで、それを省庁組織の権力構造にしてしまうのではなくて、真に国民の利益を優先するように働かせる、その為に介在するのが誠実な政治家であるならば、官僚に目くじら立てるのではなく有益な人材にできる。大臣ポストについて唯々諾々と答弁書を読むだけの政治家が多かったから、無駄な基金を億万と抱えて、省庁の権限の向こうにつまらない予算が使われないままホゾを噛むしかなかったのだが、そこに目をつけた第三極の先駆け・渡辺嘉美氏らの主張が出てきた。
また、最近は自民党支持層はシニア世代だけでなく、若者の支持も増えているともいわれる。派閥を堂々と批判する石破、かの小泉ジュニアが自民党のイメージを変えて来ているのも見逃せない。族議員らの分配政策より成長戦略が大事だと民主党の政権運営を見てきた反省も加わっている。自民党自体が内部から改革をしはじめて、今回の選挙にむけて最も周到に準備してきた。その一方で、11、12日時点での朝日新聞による電話調査で、今度の選挙で「必ず投票に行く」と答えた人は76%。過去のデータを踏まえて投票率を推計すると、前回2009年の69.28%を下回り、60%台半ばになりそうだ。既に、予測はついてきているとはいえ、一人ひとりが選挙に一票を投じる行為そのものが、国民の姿勢をも問われる今回の総選挙なのだと私は考えるのだが、どうだろうか。
そして、ただ自民党に出戻るのではなくて、責任ある政治の結果を出させるようにして欲しいし、しなくてはならない。だから、2013年、来年からは国民も知恵を絞り、復興と経済の再生に力尽くすようにしなくてはならない。戦後の高度成長には、節約家の多かった主婦たちが、たぶんに夫の会社の関係する政党、組織にして投票するのが多かったのだろうが、そのつけは世界的な長寿である女性たちが最終的にはひきうけることになるわけだ。だから、今回の結果に私としては関心がある。
我孫子市議会は、来週に12月議会を終える。高濃度焼却灰搬入予定とされる手賀沼下水終末処理場問題について、先月30日に市議会は市長に次の3点の要望書を提出していた。
1.最終処分場の確約(自治体の同意必要)がない中で、手賀沼終末処理場へ松戸市・柏市・流山市の焼却灰が持ち込まれることのないよう各市に働きかけること。
2.千葉県と印西市との間において生じている権限の紛争に関して、印西市・我孫子市の両市で総務省の自治紛争処理委員に対し調停を申し立てること。
3.千葉県が行う健康調査は焼却灰を持ち込むための条件ではないことを明確にし、すでに2,000tもの下水汚泥焼却灰が保管されている手賀沼終末処理場周辺住民及び我孫子東高校生徒など、希望者すべてにきめ細かい健康調査をするよう千葉県に要望すること。
また、市民グループからも「最終処分場が確保されるまでは灰を運び入れない、そして平成27年の3月までとしている一時保管の期限を守ること、保管倉庫はしっかりしたコンクリート構造にすること」など、千葉県に対して、国の公害等調整委員会に申し入れている。しかしながら、合意できなければ調停は打ち切られるという。県を相手にした調停は二度目になるわけで、重大課題だ。