北朝鮮からミサイルの発射を中止するような言動がみられていたところだったが、突然の発射に日本、韓国は総選挙、大統領選を控える近隣諸国、親書を手渡したばかりの中国が驚愕する。
こうした背景でありながら若者の投票動向がつかめないとの社会状況がある。若者の投票率は、データのさかのぼれる1967年の第31回衆院選以降、一貫して他の世代を下回る状況だ。特に、20歳代の投票率については、1967年時点では、全体平均投票率73.99%に対して66.69%であり、その差は7.30ポイントだったが、近年は平均に対して20ポイント超の大きな乖離が続いていた。 前回の2009年の総選挙の投票結果を見ても、20・30歳代の投票率は改善を示したが、残念ながら他の世代の投票水準との乖離はまだまだ大きい状況(20歳代の投票率49.45%、平均との乖離19.83ポイント)だ。
それならと、選挙や政治を自由に語り合える場所が、選挙期間限定で、若者の街・渋谷に設けた人がいる。名付けて「せんきょCAMP」。発起人でイベント企画制作会社社長の鈴木幸一さん(44)は若い人の投票率が低いことが気がかり。「とにかく目の前の選挙に投票に行こう」と呼び掛ける。
十日夜に集まっていたのは二十〜四十代の十数人。「これだけメディアが投票を呼び掛けているのに、なぜ投票率が上がらないんだろう」と、初参加の警備員野島英一さん(33)が疑問を口にした。話は、メディアから一方的に情報を受け取るだけではなく、選挙について皆が話し合うような社会に変えていくにはどうしたらいいのだろう−と、広がった。
発起人の鈴木さんはエコロジーをテーマにした催しや野外音楽祭の企画を手掛けてきた。「緩やかな自然主義者で、政治なんて面倒くさい」と思っていた鈴木さんを変えたのが東日本大震災。何かしたいとの一心で、音楽祭の仲間と宮城県石巻市に寝袋とテントを備えたボランティアの拠点を作った。
「投票という最も簡単な手段の民主主義参加ができない人が、社会に対して能動的に動けるわけがない」。仲間数人で協力し、先月三十日の基地開設にこぎつけた。拠点はその後、横浜市や神奈川県鎌倉市、京都市にも増えている。
鈴木さんは「受け身の民主主義が行き詰まっている今、問われているのは僕たち一人ひとり」と話す。今回のキャンプは今月二十五日まで。問い合わせは、せんきょCAMP渋谷=電080(9432)7540=まで。
出典:
東京新聞 2012年12月11日 夕刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012121102000273.html