9日に行う、セミナー「混沌の現在を維新前後から読み直そう」の準備のため、資料つくりをしていたところ、現在も常磐線の数か所が分断されたまま、津波で崩落などの結果、復旧の見通しが厳しいところがあるのも改めてわかった。NHK、民間放送などなどではカバー仕切れていない情報が多いと思う。総選挙を目前に同じニュースが流されるが、もっと災害地の状況を伝える努力をするべきではないのかと感じる。
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東日本大震災の津波で大きな被害を受け不通となっているJR常磐線相馬(相馬市)−浜吉田駅(宮城県亘理町)間が平成29年春にも運転再開する見通しとなった。JR東日本が方針を明らかにした。
現在、相馬地方から仙台方面に向かう場合、不通区間は代替バスを利用しなければならず不便を強いられている。復旧工事はルートの変更を伴うため新たな用地取得が必要となる。地権者の理解、協力を得て1日も早く再開することを望みたい。
常磐線は、津波で線路や駅舎が流された相馬−亘理駅(亘理町)間27.6キロ、警戒区域を通る広野(広野町)−原ノ町駅(南相馬市)間54.5キロが依然不通となっている。震災直後に不通となったが、被害の比較的小さかった原ノ町−相馬駅間20.1キロは昨年12月に再開した。相馬駅の北隣にある駒ケ嶺駅(新地町)以北は津波の影響で、海岸寄りの現ルートを修復して再開するのは安全上難しい。
新ルートは現ルートよりも西の内陸側に設定することにした。震災を踏まえた防災対策として(1)路線や駅舎をより標高の高い場所に移す(2)盛り土で線路部分をかさ上げする(3)線路と道路を立体交差にし、避難の支障になる可能性がある踏切をなくす−ことで安全を確保する。
現在は測量や地質調査を実施している。駅舎や線路などの設計を12月までに終え、工事の概略を決める。来年1月ごろから用地交渉に入る。新ルートは水田のほか畑、山林を通り、本県分の地権者は約60人とみられる。県、新地町、JR東日本の職員合わせて8人が用地交渉に当たる。地権者の理解を得て円滑に進むことを期待したい。
用地買収では、ルートから外れて中途半端な面積の耕地が出てくる可能性がある。地権者が十分納得できる対応を検討すべきだろう。
宮城県側は、地権者に対する説明に本県側に比べて時間がかかっているようだ。ぜひ粘り強い交渉を望みたい。
現ルートで復旧を進める浜吉田−亘理駅間は25年春の再開を予定している。本県側も用地買収、工事が順調に進んだ際には、例えば相馬−新地駅(新地町)間を繰り上げて再開してほしい。
南相馬市から常磐線を利用して仙台に向かうには、途中で代替バスに乗らなければならず震災前に比べて1時間程度多くかかっている。相馬地方に住みながら仙台方面に通勤、通学できる環境を整えることが住民の定着に欠かせない。
(出典: 2012/10/27 福島民報・論説 )