落ち込んだり、気分が萎えてしまったとき、気分を変える方法を持っている人は、早く立ち直りやすい。
茂木健一氏は、イヤなことがあっても気分を一新できるようになるには、気持ちのリセットが上手になることだといいます。これを受動的でなく能動的に起こせるようになると、時間の管理までも上手になります。
脳は「気分が変わるから行動する」のではなく「何か行動することで気分が前向きになる」という流れのほうが、スムーズにいく仕組みになっているということです。
また、自分の長年の習慣を変えるには、何かの仕掛けを自分に施す必要がある。
例えば、講演会に参加する、さらには勉強会を主宰するという主催の側になる方がもっと効果的なのだそうです。もっというなら、自分が人前で講演なり話をした方が、自分の行動は変えられる。人前で公言したら、やらざるを得ない。要は、どんな方法にせよ、自分が動かざるを得ないような仕組みをつくることなのです。
まず自ら動くことで、気分を変えられる、よき習慣を身につけたいものです。
人の気分は、外部から何か刺激が加わらないと変わりにくいです。
だから何かを始めたくても、なかなか始められない人が多い。
彼女とランチでレストランにいる時、突然、上司が入ってきたら、恋愛モードが仕事モードに切り替わるはず。このほか締め切りや納期が迫るといったことで初めてモードチェンジが起きる方もいるでしょう。
このように、自分の気分が一瞬で変わる行動”が何であるかを見つけ、それを日常生活の中に取り入れていくのがコツです。
もう一つ、“長期的”なリセットという長時間かけて、価値観や思考をリセットすることがあげられます。人は、気分だけでなくいわゆる“マインドセット”(価値観や考え方のセット)もほかから刺激を受けなければ、なかなか変えられない傾向があります。脳の海馬や扁桃体という部位の細胞は、同じつながり方をし続け、古い価値観に引きずられいるので、そうそう成長できません。
ですから、講演会、異業種交流会など、新しい価値観を教えてくれそうな人と数日に一度位は会ったほうがいいのです。
この“実際に会う”ことこそが、何より重要です。
人の脳は“学会ではこう発表している”といった情報を入手するだけでは、それほど強い刺激を受けません。実際に自分の体でその雰囲気を感じることで、初めて脳が刺激を受け影響されるのです。
『DIME 2012年18号』小学館