原告側の勝った裁判はこの志賀2号機ともんじゅの控訴審と2件だけで、結局、それも上級審でひっくり返されました。最終的には全敗ということです。中身的には原告団なる弁護団は当然勝つだろうと思っていたものも蓋をあけたら負けていたということばかり。肩書きのある専門家が沢山バックに付いている国の原子炉設置許可処分というのが案件として出てるわけで、それを原告側が安全根拠を覆すのには、文系のが多いであろう裁判官が、こうしたこう理系の高度な話に対して、その分野は素人なので原告・国にたいしての裁定に、おののきというか、どうやって判断をくだすのか自信が持てないというのが内なる心境のようだ。
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2012年8月26日日曜日8.24官邸前スピーチ(志賀原発差止判決を書いた井戸謙一元裁判長,元金沢地裁裁判長で現在弁護士)
8月24日(金)、予定通り、井戸謙一さんが滋賀県から上京し、文科省前と官邸前で、以下のスピーチを行いました。
みなさん,こんばんは
弁護士の井戸といいます。滋賀県から来ました。
毎週,ネットでみなさんを応援していましたが,いてもたってもおられず,やってきました。
3.11はショックでした。しかし,私は,この国が,市民を守ろうとしないことにもっとショックを受けました。子供たちにヨウ素剤を飲ませず,スピーディの情報を隠して住民に高濃度の被曝をさせ,挙句の果てが子供たちに年20ミリシーベルトまで被ばくさせるという政策です。年20ミリシーベルトは,18歳未満立入り禁止とされる放射線管理区域よりもはるかに高濃度です。チェルノブイリでは年5ミリシーベルトを超える地域は,強制避難の対象とされたのです。
3.11のあと,私は,この国の政府が国民の大多数の意思を平然と無視することにショックを受けました。60年安保のとき,当時の岸首相は,国会に押し寄せているのは一部の国民で,サイレントマジョリティは政府を支持していると言いました。しかし,今や,脱原発がサイレントマジョリティも含め国民の多数の意思であることは明らかです。それをどうして平然と無視できるのか。どうして,原子力規制委員の過半数を原子力村の住人とするような人事案を出せるのか。彼らは一体何のために,誰のために政治をしているのか。
私たちは,フクシマのような事態を2度と起こさせてはなりません。そして,それと同時に,福島の人々,とりわけ福島の子供たちを支援しなければなりません。健康な子供が2割しかいないというベラルーシやウクライナの今日の状況は,このままいけば福島の明日になってしまいます。なぜ,政府は,チェルノブイリの教訓に学ばないのでしょうか。すでに健康被害の兆候はあちこちに表れています。放射能を浴びるのは少なければ少ないほどいい。遅すぎるということはないのです。今からでも,福島の子供たちを安全な地域に逃がすべきです。
郡山の子供たちが,郡山市に対し,疎開させてほしいという裁判をしています。「ふくしま集団疎開裁判」といいます。私もその弁護団に入っています。1審では却下されました。
今,仙台高裁で審理中です。マスコミはほとんど報道しません。是非,皆さんのご支援をお願いします。