自主上映会「内部被ばくを生き抜く」に世田谷まで行ってきました。
上映会後には、この映画の監督・鎌仲ひとみさんと川田龍平・参議の対談が行なわれました。映画を作成した鎌仲さんは、「原発なしでもやっていけるという情報が広がっていけば「原発はいらない」の暗黙知が表向きに言えるようになる。少数による『原発は動かすべきではない』という暗黙知が、多くの人の常識に変わる。お母さんたちは、その最先端にいる、時代を変えていることに誇りをもって欲しい」といわれました。
川田氏は、2011年事故後より、超党派での法案成立を目指し、奔走し、 遂に、6月に『子どもと妊婦を守る法案』を成立させました。まずは、みんなの党の勉強会にて、東京大学アイソトープ総合センター長の児玉龍彦教授を招いた際に話合った内容をもとに法律案を作成したのです。この法案は一刻も早く、子どもを放射線被曝から守るため、汚染マップを作ることや、食品の安全検査を行うこと等を目的としています。
<国会審議の詳細>
2012年6月6日「子どもと妊婦を放射能被害から守る法案」は与野党間で合意のうえ一本化されて、「子ども・被災者支援法」として6月15日参議院本会議で全会一致で可決・通過し衆議院に送られ、6月19日衆議院東日本 大震災復興特別委員会で全会一致で可決され、6月21日衆議院本会議で全会一致で可決、成立致しました。
成立してからが本番です。法律の基本方針を政府がこれから定めます。
というわけで、参加者は熱心に聞き入り、終了後にはロビーに並べられた著書の棚の前に行列ができて、何冊も買っていく姿がある、その熱の入った話しが伝わったのがよく分かりました。
HIV訴訟のときに感染すれば発病すると思われていたのと同じで、正しく怖がること、但し、不安にならないように多くのひとと意識を共有できるようストレスにしないことだと力づよく話をされた。被ばくすると皆が病気を抱えると思っているかもしれないが、免疫力を低下させないように、不安を解消していくことだというのです。この事態から子供を守るにはどうするべきか、国会議員を動かす、条例をつくるように動かざるをえないようにする。声を上げて行政を動かす、民主主義を自分たちが使いこなす、国民(市民)が人任せでなく実践することだと言われた。映画に登場した医師ら4人の実践を見ればそう言う気持ちになる。一人ではない、必ず、力を合わせていけるとのメッセージでした。
■ドキュメンタリー映画の監督・鎌仲ひとみさんによると、「内部被ばくを生き抜く」
この映画は、福島の子ども達の現状を改善するために急遽つくったという。福島第一原発事故で拡散した放射性物質による内部被ばくについて四人の医師にインタビューし、危険性とどう向き合うべきかを問いかける一方、福島県二本松市で幼稚園を運営する僧侶一家の取り組みを通じて、子どもたちの安全を守る方策を探る。
鎌仲さんは、これまでに広島、長崎の被爆者、湾岸戦争で使われた劣化ウラン弾や米国の核兵器施設周辺に住む住民らに取材してきた。2003年には「ヒバクシャ−世界の終わりに」を制作、以来、内部被ばくの問題をテーマに追求してきて、ある兆候に気付いたという。だから「大丈夫」だと喧伝する専門家には「なめちゃいけない」と言いたいという。
この映画に登場する医師らは、広島の被爆者を診察し続けてきた医師・肥田舜太郎さん、チェルノブイリやイラクで医療支援を続ける鎌田實さん(諏訪中央病院名誉院長)、福島で除染に取り組む児玉龍彦さん(東京大アイソトープ総合センター長)、チェルノブイリの小児科医師スモルニコワ・バレンチナさん。これらの方々の話から、内部被ばくリテラシーは今まではゼロ、これから一生かかって伝えていくことになったのだと改めて分かる。
福島の事故後、福島に遣わされた著名アドバイザーは「大丈夫」を連発して県内の病院での受診にセカンドオピニオンは不要、最初の検査から2年間最新不要としているという。そのため、鎌田医師ら、JFCはその状況を改善するべくセカンドオピニオンを受けられる病院を福島に開設して、被災者は不安を軽減した。正しく怖がることが重要で、この状況に敏感に受け止める人と、『まあいいか』という人とがいるが、放射性物質に対する意識が高い人より、低い人のほうが確実に被ばくしているという話だった。
鎌仲さんは、「内部被ばくについては分かっていない部分が多く、情報が開示されていないことが混乱の要因。予防原則でいえばリスクは避けるべきなのに、低線量について『大丈夫』という。そのおかしさが変わるまで言い続けていくしかない。しかも、被ばくを避ける為にも急いで制作する必要があったが、もっともっと見てもらい子供に不要な被ばく量にさせないようにしたい。」と子供を守るために映画を作ったという。
子どもたちの内部被ばく線量の測定で、医師も、ホールボディーカウンターも不足している現状に、医療界の取り組みの鈍さを指摘し、「四人が異端ではなく、真っ当な医師であると受け止めてもらうようにならなければ」と語る。
自然エネルギーの可能性を探った前作「ミツバチの羽音と地球の回転」など、上映会を通じて脱原発を訴えてきた。それでも福島の事故に原発についての認識を「甘かった。事故が起きるという確信までは持っていなかったし、原発の負の部分を理解してもらえれば、変えていけると考えていた」と。