放射能汚染による焼却灰について、最終処分場の受入れが決められずに各自治体では昨年来より一時保管の場所に困窮している。
環境省は、このため原発などの特殊施設の放射能クリアランスレベルが100ベクレル/kgだが、8000ベクレルに変更して対応する。
焼却灰中の放射性セシウムが1キロ当たり10万ベクレルまでの場合、埋め立て場所の周辺住民の被ばく量は、作業中でも一般人の年間線量限度(1ミリシーベルト)を下回り、埋め立て後は100分の1以下になるという。
ただし、雨水に溶け出して地下水を汚染しないよう、焼却灰をセメントで固めるなどの処理が必要。また、埋め立て後の放射線量モニタリングや跡地利用の制限などの対策も欠かせないとしている
原発など原子力施設の敷地内では一定基準を超えた汚染物を放射性廃棄物として扱う。クリアランスレベルと呼ばれるその基準は、自然放射能を下回る0.01マイクロシーベルト/時、セシウムのみの汚染なら、100ベクレル/kgと厳しく定められている。その基準を超えたものは放射性廃棄物として、移動や処分を厳格に管理され、資格の無いものが移動することや、特別に決められた処分施設以外での廃棄は許されていない。そのため、終末処理場などで濃縮放射能焼却灰などが行き場がなく貯まっており、廃棄物の放射線量基準値を大幅に甘くしたものの、一時保管が長期化する可能性もある。保管場所を「放射線管理区域」に指定する自治体(前橋市)も出ている。
栃木県大田原市では、昨年7月、焼却灰から基準を超える1万3580ベクレルが検出された。住民の反対で、最終処分場への搬入・埋め立てを中止していたが、今年1月に再開した。処分場を管理する那須地区広域行政事務組合は、当初、基準を下回る灰の搬入だけでもと理解を求めたが、同意は得られなかった。 このため組合は、放射性物質の濃度が高い落ち葉や木の枝の回収を中止し、家庭ごみの収集回数も週二回から一回に削減して対応した。その結果、昨秋以降は基準を下回る状態が続くようになった。組合は11月ごろから戸別訪問を繰り返し、放射線量が下がっていることを強調。「大半の住民から理解が得られた」として、搬入再開にこぎ着けた。一部の住民が今も反対しており、処分場近くに住む主婦は「国の基準を守り、焼却灰を厳重に管理してもらいたい」と注文していた。
手賀沼終末処理場は、40ヘクタールと広大で、2ヘクタールの空き地がある。民家からも100メートル以上離れ、県の担当者は「管理しやすくベストだ」という。これだけの広さの県有地がないという。県は今月6日の関係市による協議で、「不安を払拭」と我孫子、印西市の住民への説明会開催を提案した。しかし、両市は「協力できない」とし、日程調整にも入れない。 柏、松戸、流山の三市の焼却灰は計1268t(1月18日)となった。柏市では、2カ所ある清掃工場のうち一カ所を保管場所にして、1月から稼働も停止していたが、再度稼働して貯まった分を焼却するため一カ月半の一時稼働をすることになった。
我孫子市のクリーンセンターでの保管建屋周辺などのセシウム、ヨウ素の線量は幸い低いという。22日、我孫子市議会の放射能対策特別委員会で放射能対策、焼却灰受入れに関する陳情3,4号について論議、23日全員一致で採択された。県からの提案を白紙撤回したいとするが、印西市の姿勢は県議の発言から窺い知るように変化が感じられる。我孫子選出の県議らは、他市の焼却灰受け入れについて断固反対の市議らと連携で来ているのか疑問だが、4月20日(金)午後1時より、引き続き放射能対策特別委員会が開催されることになっている。
放射性廃棄物の廃棄方法
http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/tech/ri/haiki.html