2011年09月12日

杉村楚人冠の落馬碑

八幡平トロコの国道341号脇に杉村楚人冠にまつわる「落馬碑」があるという。当時の楚人冠は、落馬しただけで石碑が建てられるほどの人だったということだ。

碑を作るなどは、どれほどの意味があるかと思う時もあるが、これなどは後々に語り継ぎたいとの多謝の念が感じられ、楚人冠ゆかりの我孫子としても嬉しいことではないかな、と思う。これからは経済だけでなく、日本は文化・歴史を大切にする観光の時代へとシフトする必要があると言われている。後世にもその時代の人々の想いが伝えられる記念碑として紹介しておきたい。

落馬事件の事の起こりは、1934(昭和9年)、八幡平高原と温泉郷の宣伝に努めていた関直右衛門(宮川村)が、近隣の村々とも相談し、湯瀬ホテルにおいて朝日新聞社の秋田・青森・岩手の販売大会が開催された。後に衆議院議長となる石井光次郎(営業局長)や重役幹部含めて120人ほどのところに楚人冠も呼ばれて出席、ほとんどは翌日十和田湖を探勝して帰った。しかし、楚人冠には、後の秋田市長となる武塙三山(当時秋田魁新報編集長)たちが、平原で女も子供も登れる山、誰でも歩ける山があるので書いて紹介してほしいと話した。

東京朝日新聞社の記者・楚人冠は、既に名文家として有名で直右衛門らが、どうしてもと頼み込んで、八幡平へ登ることになったのだという。楚人冠は、7月13日ホテルを出発して自動車で坂比平まで行き、そこからは先は馬でしか行けないというので乗馬した。ところが、トロコという処で馬の交換のため降りようとして鐙(あぶみ)に足をとられた。楚人冠は真逆さまに転落、左手骨折という「落馬事件」になってしまった。柔道三段の石井局長の応急処置を受けて戸板で下山、坂比平で待機していた「永田のセガリ」 (整骨師)の手当てを受け休養、翌日から湯瀬ホテルで静養することになった。

大変な目にあった楚人冠だが、「週間朝日」にすばらしい美文の八幡平紹介レポートだけでなく、登山の途中、トロコ温泉付近で落馬し、腕を打った顛末も書いた。「落馬記」「傷害保険」「落馬余録」「報謝行」と題し、「アサヒグラフ」などにも連載した。この落馬が思いがけない宣伝になり、又これを治療した(大字八幡平)永田の整骨老人と共に文にもなって有名になってしまった。楚人冠の記事によって、国立公園指定の側面援助の目論は地元各方面でも理解され大賛成となった。この記事のお陰で行きにくいにイメージになる奥羽アルプスなどの呼び名も消え、皆に親しまれる八幡平になったという。

登山の途中、馬から落ちて腕を折って、思い出すにも不名誉な出来事ではあったが、楚人冠の名を刻んだ落馬記念碑が建てられることになり、楚人冠はこの記念碑の除幕式に自ら進んで出席しというのだ。著名人として、楚人冠落馬のエピソードは大いに八幡平のPRになったのです。

楚人冠no落馬碑.jpg

  我行荒草裏 

  汝又入深林 

  楚人冠書
 

    昭和10年(1935)8月27日、宮川村関直右衛門建之。
  
  所在地:落馬記念碑/八幡平トロコ


その折の随筆を「八幡平再挙」除幕式・天下の珍湯 − フケの湯・八幡平の頂上・八幡平の谷地と谷地目・後生掛から焼山越・八幡平の勝景とその発見者・玉川温泉とその付近として写真付きで掲載、いよいよ八幡平は一挙に全国に紹介されていくことになった。それほど楚人冠効果は大したものだった。しかも、この話はそれだけに止まらず、国内はもとより海外にまで「湯瀬発、楚人冠八幡平で落馬」と報道された。海外特派員としての経験も知れ渡っていた楚人冠なので、秋田県八幡平と湯瀬は楚人冠の落馬は口々に天下に知れわたることになったのだった。

 
確かに、楚人冠は我孫子でも景観を保全のために活動していたが、フィッシングセンターばかりでなくゴルフ場や遊園地(ディズニーランド計画)を兼ね備えた観光地として手賀沼が整備されることも期待していた。欧米諸国への駐在時代に、世界の景勝地も見て回り、紀行文作家として観光地の意義も良く知っていたのだろう。

「楚人冠落馬碑」の存在に目を留めた人がブログで紹介してくれたおかげで、そんな知名度が高い張りだこ楚人冠の気さくな一面を碑の存在で改めて知った。

なお、八幡平(秋田県鹿角市)に伝わる民俗芸能「大日堂舞楽」は重要無形民俗文化財の第一回指定を受け、最近ではユネスコの世界無形遺産にも指定(2009年)されているとのこと。
http://blog.livedoor.jp/kazuno2009/archives/1246090.html 

 (上記ブログより、記念碑の写真を転載。)楚人冠の口上を聞く
posted by Nina at 00:00| 千葉 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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